Office 2007 から Office アプリケーションの位置づけは大きく変わっていることがうかがわれるが、Office 365 になって初めて現実と理想の方向性が一致した。
Office 365 を使うことにより、クライアント Office アプリケーションとサーバー(サービス)の連携をサーバーの導入を気にしなくてもすぐに使えるようになったからだ。
特に Excel の「テーブル機能」はその「橋渡し」をする重要な機能である。
ただ、残念なことに「テーブル機能」については日本マイクロソフトがそれほど前面に出しておらず、綺麗なリストを作るだけ、と勘違いしている方々も多い。
さらに昔からある機能の「名前」が重要になる。なぜか日本では「名前」という機能名になっているが、英語では "named range" であり、あえて言うならば「名前付き範囲」とでもいうべきか。
この「名前」(混乱するといけないので以降は named range と記す)だが、Excel 2003 まではブック内のグローバル変数のような扱いであった。
しかし、2007以降、テーブル機能が追加されてからは、このテーブルと named range の組みあわせが非常に強力な支援機能として存在している。
そもそもテーブル名も named range である。そして、このテーブルを参照先とした named range の長所は、「範囲が変わっても、再指定する必要がない」ということである。
グラフのデータ範囲にしかり、ピボットテーブルのデータソースの範囲にしかり、入力規則のリストの範囲も、この named range とテーブル機能の組みあわせでメンテナンス性が大きく変わる。
そして、テーブル機能は Excel と他のデータソースとの橋渡しなのだ。
もはやテーブルは Excel のリストではない。範囲でもない。それ自体が Excel の「オブジェクト」として独立している。そして、この「オブジェクト」のデータソースは Excel でなくてもいいのだ。
これが Office 365 との親和性のキーになる。
SharePoint Online のリストやライブラリ、Access Services による SQL Azure の利用も、このテーブル機能(同時にデータ接続や PowerQuery) を媒介して Excel からのアクセスを容易にしているわけである。
とは言え、重要なのは Excel でテーブル機能を使い倒しているか、である。これができていれば、Office 365 との共存・連携をする価値およびその実現性が具体化を帯びる。
逆に Excel を使いこなしていなければ、Office 365 を使いこなすことは難しい。SharePoint Online に無理・無駄・ムラな独自開発を入れ、サービスアップデートで右往左往するだけである。
Excel に始まり、Excel で終わる。Office 365 というクラウドの活用は、実は、Excel に始まり、Excel に終わると感じるのである。
キーワードは
- テーブル機能
- Named Range
- Pivot Table
- Power Query
- Power Pivot
なお、Personal や Home and Business は上記の Power BI 系のアドインを使うことができない。この点を注意されたい。
業務で使うのであれば、Professional 以上もしくは Solo だが、できれば Office 365 Business や Enterprise を検討すべきだ。特に Enterprise の Excel Services は Excel を知っているものにとっては「これが欲しかった!」というであろう。
テーブルは綺麗な表を作るためのものではありません。
[追記] 2014/12/5
マイクロソフトのサポートに確認した方から、Office 365 Solo では Power 系アドインが使えないという情報が入りました。
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