SharePoint リストと Excel の親和性については前回紹介した。
Excel ユーザーのための Office 365 SharePoint Online
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/11/excel-office-365-sharepoint-online.html
この中で「あまり凝ったことをやらないほうがよい」と述べたが、その意味は、意外なところで「落とし穴」があったり、便利だと思って使ってしまうと業務上問題がでることに気づくのが遅かったりする可能性があるためだ。
システム開発のような要件定義、設計、テストといったフェーズを踏めば、そして、そのために SharePoint の良質なトレーニングを事前受けていれば、そのような問題や落とし穴を回避できるだろうが、エンドユーザー側が主となって活用するとなると、システム開発経験やデータベースの知識が十分あるとは言えない。
そこで、SharePoint リストの活用でありがちな落とし穴やはまりポイントを紹介する。もちろん、Excel との連携を考えた上での「ポイント」である。
入力規則的な使い方で「参照」に注意
Excel の入力規則で「リスト」を指定してドロップダウン リストから選択させる機能がある。
同様の機能として SharePoint リストの列設定で「選択肢」と「参照」がある。
選択肢は Excel の入力規則で選択されるアイテムを直接ダイアログの「元の値」に入力する方法と同じだ。
エンドユーザーの使い勝手、入力効率を考えれば、なるべく選択可能なものはドロップダウン リストから選択させたい。また、選択することで誤入力を抑えることができる。
この「選択肢」の列は、SharePoint から Excel にエクスポートすると、選択したものが「文字列」として処理され、Excel で利用可能になる。
一方、SharePoint リストの列の「参照」は Excel の入力規則でいうところの「元のデータ」が範囲やテーブルになったものと考えるといいだろう。参照先を変更すれば、ドロップダウン リストの内容も変更される。(最新のものになる、と理解しているだろう)
入力規則でテーブルを使う方法は以前紹介しているのでそちらも参照いただきたい。
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html
この方法は、元のデータの追加にもドロップダウン リストが対応できる点がテーブルを使うメリットだが、もし、「青」を「青色」と変更した場合、どうなるか。以下のアニメーション GIF を見ていただきたい。
ドロップダウン リストは参照先のデータの追加(黄)に対応し、修正(青→青色)にも対応した。
この動きを SharePoint リストの「参照」に期待すると業務上大きな問題がでる場合がある。
ワークシート上で最初にドロップダウン リストで選択した「青」は青のままだったことを覚えていてほしい。(A1セル)
SharePoint リストで参照先となる色のリストを作る。
他のリストの列で、この色のリストを参照する「列」を作成する。
そうするとリスト アイテム入力時に以下のように選択が可能になる。
Excel で行ったように黄を追加すると、ドロップダウン リストにも黄が追加される。
では、参照先リストの色のリストにある青を青色する。すると、参照している列に青色が追加されるが、その前に入力していた1行目の青も青色に変わっていることがわかるだろう。
この動きが Excel の入力規則 リスト 参照先テーブルとの違いである。
Excel の入力規則のリストのドロップダウン リストからの選択は、ドロップダウン リストは参照先から作成されるが、選択した場合、セルに入るのは「文字列」である。
一方、SharePoint リストの参照は、ドロップダウン リストは参照先のリストにより更新され、選択して入力されるのは文字列ではなく参照先のリストのアイテム「ID」なのだ。
そのため、参照先のデータが変われば、リスト上のデータも変更される。動きとしてはリレーショナルデータベースにおけるリレーションと同じである。
もちろん、過去にさかのぼってデータが一斉変更されたほうが良い場合もある。
しかし、過去のデータや一度入力したデータを変更したくないケースも業務上あり、その場合、安易に参照を使ってはならないのがわかるだろう。
参照先データが可変する場合は参照による追随は非常にありがたいのだが、もしアイテムそのものの変更が発生する可能性がある場合で一度入力したデータを変更したくない場合は、参照ではなく「選択肢」を使うべきだ。もちろん、選択肢はデータの増減に追随できないため、変更が発生したら、それを列設定で反映させなければならない。
Excel のワークシートと SharePoint のリストは親和性が高く、連携すると様々なことができるのは事実だが、このような違いがあり、そこに気が付くのに時間がかかることも多い。
この参照する列を含むリストを Excel にエクスポートすると以下のようになる。
参照列は文字列としてエクスポートされていることがわかるだろう。
上記の話はデータベース設計の経験があればすぐに気が付くと思うが、Excel でこなしている業務を SharePoint リストで補完し合うといった場合ではなかなか最初からは気が付かない。
参考になれば幸いである。
Excel ユーザーのための Office 365 SharePoint Online
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/11/excel-office-365-sharepoint-online.html
この中で「あまり凝ったことをやらないほうがよい」と述べたが、その意味は、意外なところで「落とし穴」があったり、便利だと思って使ってしまうと業務上問題がでることに気づくのが遅かったりする可能性があるためだ。
システム開発のような要件定義、設計、テストといったフェーズを踏めば、そして、そのために SharePoint の良質なトレーニングを事前受けていれば、そのような問題や落とし穴を回避できるだろうが、エンドユーザー側が主となって活用するとなると、システム開発経験やデータベースの知識が十分あるとは言えない。
そこで、SharePoint リストの活用でありがちな落とし穴やはまりポイントを紹介する。もちろん、Excel との連携を考えた上での「ポイント」である。
入力規則的な使い方で「参照」に注意
Excel の入力規則で「リスト」を指定してドロップダウン リストから選択させる機能がある。
同様の機能として SharePoint リストの列設定で「選択肢」と「参照」がある。
選択肢は Excel の入力規則で選択されるアイテムを直接ダイアログの「元の値」に入力する方法と同じだ。
エンドユーザーの使い勝手、入力効率を考えれば、なるべく選択可能なものはドロップダウン リストから選択させたい。また、選択することで誤入力を抑えることができる。
この「選択肢」の列は、SharePoint から Excel にエクスポートすると、選択したものが「文字列」として処理され、Excel で利用可能になる。
一方、SharePoint リストの列の「参照」は Excel の入力規則でいうところの「元のデータ」が範囲やテーブルになったものと考えるといいだろう。参照先を変更すれば、ドロップダウン リストの内容も変更される。(最新のものになる、と理解しているだろう)
入力規則でテーブルを使う方法は以前紹介しているのでそちらも参照いただきたい。
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html
この方法は、元のデータの追加にもドロップダウン リストが対応できる点がテーブルを使うメリットだが、もし、「青」を「青色」と変更した場合、どうなるか。以下のアニメーション GIF を見ていただきたい。
ドロップダウン リストは参照先のデータの追加(黄)に対応し、修正(青→青色)にも対応した。
この動きを SharePoint リストの「参照」に期待すると業務上大きな問題がでる場合がある。
ワークシート上で最初にドロップダウン リストで選択した「青」は青のままだったことを覚えていてほしい。(A1セル)
SharePoint リストで参照先となる色のリストを作る。
他のリストの列で、この色のリストを参照する「列」を作成する。
そうするとリスト アイテム入力時に以下のように選択が可能になる。
Excel で行ったように黄を追加すると、ドロップダウン リストにも黄が追加される。
では、参照先リストの色のリストにある青を青色する。すると、参照している列に青色が追加されるが、その前に入力していた1行目の青も青色に変わっていることがわかるだろう。
この動きが Excel の入力規則 リスト 参照先テーブルとの違いである。
Excel の入力規則のリストのドロップダウン リストからの選択は、ドロップダウン リストは参照先から作成されるが、選択した場合、セルに入るのは「文字列」である。
一方、SharePoint リストの参照は、ドロップダウン リストは参照先のリストにより更新され、選択して入力されるのは文字列ではなく参照先のリストのアイテム「ID」なのだ。
そのため、参照先のデータが変われば、リスト上のデータも変更される。動きとしてはリレーショナルデータベースにおけるリレーションと同じである。
もちろん、過去にさかのぼってデータが一斉変更されたほうが良い場合もある。
しかし、過去のデータや一度入力したデータを変更したくないケースも業務上あり、その場合、安易に参照を使ってはならないのがわかるだろう。
参照先データが可変する場合は参照による追随は非常にありがたいのだが、もしアイテムそのものの変更が発生する可能性がある場合で一度入力したデータを変更したくない場合は、参照ではなく「選択肢」を使うべきだ。もちろん、選択肢はデータの増減に追随できないため、変更が発生したら、それを列設定で反映させなければならない。
Excel のワークシートと SharePoint のリストは親和性が高く、連携すると様々なことができるのは事実だが、このような違いがあり、そこに気が付くのに時間がかかることも多い。
この参照する列を含むリストを Excel にエクスポートすると以下のようになる。
参照列は文字列としてエクスポートされていることがわかるだろう。
上記の話はデータベース設計の経験があればすぐに気が付くと思うが、Excel でこなしている業務を SharePoint リストで補完し合うといった場合ではなかなか最初からは気が付かない。
参考になれば幸いである。