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2016/12/26

[Power BI] 日本政府環境局 JNTO さんのデータからのインサイト(5)

第4回からの続きになります。

日本政府観光局が公開している訪日外客数のデータを使って、Power BI Desktop や Excel、Power BI Service でインバンドのインサイトを探してみよう、という試みの第5回目です。

各年の複数ワークシートで構成されている訪日外客数のブックを取り込んだところまできました。
今の状態は、クロス集計表で表現されている「セルの範囲」が複数年、縦に連なっている状況です。第4回で説明したように、個々の列の情報は同じものという大前提があります。


ここから「不要な情報を取り除く」作業をする、または「必要な情報のみを残す」作業をします。
そのために最初はちょっと違和感があるかもしれませんが、この複数年のクロス集計が縦に連なったセル範囲を「テーブル」のように扱います。テーブルのように扱うことで、見出し行を追加し、「オートフィルター」機能が使えるようになります。そのフィルター機能を使って「不要な行」を取り除く、もしくは「必要な行だけを残す」操作をします。

(1) タイトル行のベースになる行を探して、タイトル行にする 


これらの操作は、現実のデータを見て検討するので、必ず以下で設定する内容であったり、順番であったりが正しいわけではないことに注意してください。扱うデータは「ナマモノ」であり、調理方法(加工方法)はさまざまです。その時その素材にあった方法を見つけるしかありません。

重要なのは、その操作が「再利用可能か?」を常に意識したほうが良い、ということです。この「再利用可能か?」は所々で解説したいと思います。

今回扱っている訪日外客のデータで、テーブルに変換したときにタイトル行になって欲しいのは、4月、5月、6月といった月であり、その行にあるべき(表示はされていませんが)国名などになります。

一切並べ替えをしないで取り込んだ直後のデータは以下のようなものです。


この時、最初の行は 2003 年の昔のデータなので、基本このワークシートは「変更されない」と「仮定」します。そうすると、「タイトル行」にしたいデータ行は4行目にあります。

このように「最初の3行はとりあえず使わない、要らない」というのがわかっているのであれば、「上位の行の削除」を使って、上から何行を削除する、という操作が可能です。


クエリ エディターの[ホーム]タブは、データを取り込んだ直後によく使う基礎的な機能/コマンドをまとめています。[行の管理]や[列の削減]のグループにはデータ取り込み直後に良く使う機能があり、その中に [行の削除] の [上位の行の削除] があります。

どの列が選択状態になっていても、ここでの指定は「行全部」となります。上位の行の3行を削除、という指定は、すべての列を含む3行を削除します。
また、今回の訪日外客のデータ展開で、第1列目の[Name]にはテーブル名に相当する 2003 などの年が「必ず」入っているので、列全てが null になる「空白行」は存在しません。そのため、(くどいですが)「今回の訪日外客のデータ」では全ての列が空白になる「空白行の削除」は該当しません。

また、この時点で当然疑問に思いますが、2003年のデータの[5月] や [6月]の行をこれから「先頭行」として使う設定を行いますが、2004年以降のデータの[5月]や[6月]は、データとして残っています。これはどうなるんだ?と思われるでしょう。これは、後ほどの作業で結果的に「消す」作業をします。

上位3行を消すと、 [5月] [伸び率] [4月]・・・のデータを含む行が1行目になるので、この行を [見出し行] として使います。そのまま [ホーム] タブの [変換] グループにある [先頭の行を見出しとして使用] をクリックして、1行目を見出し行(タイトル行)に変換します。


この変換により、重複した列名は許されない、もしくは必ず列名がなければいけませんから、[伸率]、[伸率_1] などの名前の自動変更が行われます。


ここからは、そのデータにあった対応を行っていきます。JNTO の訪日外客のデータの場合は、以下の方法で不要なデータを取り除くことができました。これらの方法や考え方は、他のデータでも十分に適用可能だと思います。

(2) フィルターをつかって不要な行を取り除く


今、この状態は、複数のワークシートを追加(Append)し、2003年のデータの上から3行分を削除し、4行目を見出し行にしたに過ぎません。不要なデータはまだ山のようにあります。以下はスクロールしていくと見つけることができる不要なデータの例です。(行が多いときはスクロールせずに、フィルターオプションから、重複しないデータの確認ができます)

「総数」や「アジア計」、「ヨーロッパ計」といった、小計、合計の行は必要ありません。

小計行もいりませんが、コメント・注釈行もいりません。

2003年の上位3行で消した表のタイトルは当然次の年のデータでは出てきます。これらの行は必要ありません。

もし、必要となるデータの国が決まっているのであれば、[Column2] のオートフィルダーで国の名前を直接指定するのも一つの方法です。以下であれば、Column2 に「中国」、「台湾」、「米国」、「韓国」、「香港」がある「行だけ」を選択して絞り込むことができます。


ただ、実際には国のデータは昔のデータにはなかった国のデータが追加されることも多く、必要な国を指定して、国を固定するより、不要なデータを削除するほうが「再利用性」が高いと言えます。今後どんな国が増えるかわからない、という状況は、「今後どんな製品が増えるかわからない」や、「今後どんな営業所が・・・」「今後どんなお客様が・・・」に通じるものがあると思います。

この場合に使いたいフィルターオプションは「指定の値を含まない」フィルターオプションです。


このテキストフィルター オプションを使えば、新しい国が入ってきても対応可能です。もちろん、「新しい不要な行」が入ってきたら、その対応をするのには変わりません。新しい不要な行と、新しい国のどちらが追加される可能性が高いかを実データから想定する必要はあります。

・漢字の「計」がある国名はない、という前提で「計」の文字を含まないものにする
>アジア計、ヨーロッパ計、アフリカ計、北アメリカ計など、地域の小計が排除される

・漢字の「注」がある国名はない、という前提で「注」の文字を含まないものにする
>注1:、注2の行が排除される。もちろん漢字1文字の「注」に問題がありそうならば、その行に含まれる「本資料」や「表中の」などを指定すると確実になります

・「総数」」を含む行を外す
>「2004年 訪日外客数(総数)」といったデータのタイトルを表す行と「総数」の計算行が排除される

・「出典:」を含む行を外す
>表の下にある「出典:日本政府観光局(JNTO)」を含む行が排除される

・「本表で」を含む行を外す
>「*本表で、通年の・・・」のコメント行が排除される

このような設定を繰り返して、すべての不要な行を削除します。確認はオートフィルターのリストを見るとが一番いいでしょう。


Column2 は「国」または「地域」のデータ列になったので、見出し行の [Column2] をダブルクリックすると編集モードになるので [国名] などに変更します。また、第1列目の [2003] は年々のデータかを表すので [年] に変更しておきます。


これで不要な行の削除が終わりました。
長くなりましたので、次回は、列について操作します。
お楽しみに。

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2015/03/25

Excel ユーザーのための Power BI 系インストールのお話

[追記] Power Query のシステム要件が v2.22 以降で変わりました。こちらを参照ください[追記終わり]
[追記] Power BI Desktop や Power BI といった Excel アドインではないサービス、製品との比較はこちら。[追記終わり]

以前、実践ワークシート協会でユーザー主催の勉強会に呼ばれた時の話を思い出して、あらためて Microsoft が現在 Excel 周りで推し進めている Power BI のアドインである Power Query、 Power Pivot、 Power View そして Power Map のインストールについて纏めてみたいと思う。

実は Power BI を使う以前の状態だった

一般の現場であった事実をご紹介する。
これは昨年の夏のことであるが、6人ほどの小規模なユーザー勉強会に協会代表理事の田中亨(Office TANAKA)と私が招待された。
このユーザーグループのメンバーは Excel のことは標準ユーザーレベル以上によくご存じであり、業務で Excel VBA も使いこなしている方々である。

Power Pivot や Power Query といった Power BI 系のアドインは、Microsoft SQL Server/Analysis Services 側の Excel アドインから派生した経緯もあり、また、Office 365 クラウド サービスの一部的な扱い方をされている関係で、PC にインストールされた Excel を主に利用しているユーザーが全くその存在を「知らない」ことが多い。これは実践ワークシート協会主催の Excel VBA セミナー の受講者の皆さんの現状を聞いても「知らない」と言うユーザーが多いことである程度は予測していた。

とはいえ、勉強会に参加するメンバーに Power BI を紹介したいと思い、事前に利用している Excel のエディションを聞いたところ、6人中、以下のような回答であった。

  • Home and Business 5人
  • Professional 1人

これでは、Power Pivot や Power Query を紹介しても、まさに「絵に描いた餅」でしかない。
なぜなら、多勢を占める Home and Business や Professional エディションでは Power BI のアドインはインストールできない、利用できないからだ。
以下が Power BI アドイン Power Query の使用前提条件である。

Power Query のシステム前提条件

マイクロソフトの office online のヘルプには2つのバージョンがあるとしている。1.5 と 2.1 (2015/3 現在の最新は 2.2)が紹介されている。

Microsoft Power Query for Excel のヘルプ

普通に Power Query のダウンロードを検索するとダウンロードセンターでヒットするのは最新版の 2.X 系である。

Microsoft Power Query for Excel (microsoft download center)

2015年3月のバージョンは 2.20.3945.242 であり、公開日は 2015/03/04 である。
このバージョンのシステム要件、特に Office のエディションは以下と明記されている。

  • ソフトウェア アシュアランス付きの Microsoft Office 2010 Professional Plus
  • Microsoft Office 2013 Professional Plus
  • Office 365 ProPlus
  • Excel 2013 スタンドアロン

この「Excel 2013 スタンドアロン」をみて多くの Excel ユーザーが自分の Excel は使えると(たぶん)勘違いするだろう。
Excel 2013 スタンドアロンとは「エディション」の名前であり、わかりやすく言えば「Excel だけパッケージされた(割高な)製品」のことだ。

英語ブログ Yes, Excel 2013 Standalone Now Includes Power Pivot.(For real, normal people have it)
Power Pivot が無ければ、Amazon から Standalone download 版の Excel を購入してみては?という記事。

Office スィートに入っている Excel、そこから、たとえ Excel のみインストールして、それを「単体」で使用しているからと言っても、それは Excel 2013 スタンドアロン エディションではない。

言えば、「個人・家庭向けの Office スィート エディションに入っている Excel は対象外」である。Solo、Personal、Home and Business、Professional エディションは個人・家庭向けの Office エディションだ。マイクロソフトの製品紹介では「ビジネス向け」に Solo、Home and Business、Professional がリストされているが、それは「日本において業務上で利用が可能」という条件の元で「ビジネス向け」といっているだけなのだ。

http://products.office.com/ja-JP/buy/compare-microsoft-office-products

Professional エディションについても勘違いしてはいけない。システム要件には 2010 も 2013 も「Professional Plus」エディションと表記されている。Plus があるのとないのとでは大きな違い(として扱われているの)だ。

OfficeProfessionalPlus2010

Office2013ProfessionalPlus

office365proplus

結局、Office の Professional Plus というエディションは法人向けの販売店・リセラーから購入した Office のエディションであり、ProPlus は Office 365 として購入しインストールした Office のことになる。

ところが、そこでも「?」となるものがある。Office 365 に含まれている Office には上記のシステム要件に「ない」エディションがある。
それが Office 365 Business である。

Office365Business

このエディションに Power Query 2.x のインストールはできない。

Office365BizPQinstall

つまり、企業向けの Office 365 だからといって使えるわけではなく、システム要件に書かれているように「Professional Plus か ProPlus」が絶対条件としての前提なのだ。
ちなみに Office 365 Business Premium という Office 365 もあるが、それも Office のエディションは Office 365 Business だ。

もちろん、つい最近利用可能になった Solo も上記の条件に当てはまらないため、システム要件を満たしていないことになる。

なお、Power Query の 1.5 についてはすでにマイクロソフトのダウンロードセンターからダウンロードができなくなっているので、この選択肢は正式にはすでにない。

ProPlus を含んでいる Office 365 は Office 365 Enterprise と呼ばれ、E3、E4 というサブスクリプション プランのみである。

http://www.microsoft.com/ja-jp/office/365/plan.aspx

前回の投稿で Excel 2016 を紹介したが、2016 では Power Query はアドイン扱いではなくなっている。
今後、これがどのような形で各エディションに展開されるかはまだ不明だが、これまでのマイクロソフトの動きを考えると、Power Pivot のように利用できるエディションのみ選択可能で、そうでないエディションはタブに表示されないか、グレイアウトされるなどの処置が施される可能性が高いと思われる。もしそうでなければその英断を称えたいところだ。

Power Pivot/Power View のシステム要件

Power Query よりはエディションの混迷度合が若干マシなのが Power Pivot だ。アドインであるには変わりないが、現在では最新の Power Pivot をダウンロードセンターからダウンロードできない。
ダウンロードできるのは Excel 2010 用のものだけだ。若干マシ、としたのは、アドインとしてダウンロードするのではなく、すでに Excel 2013 の「オプション」として Power Pivot があるか、ないかで判断可能だからだ。なお、Power View も同様である。

よって使える Excel 2013 のエディションの条件は「Power Pivot が COM アドインとして登録されているか」で確認可能だ。無ければ利用できないと判断できる。
この COM アドインに Power Pivot が含まれているエディションは Professional Plus か ProPlus のどちらかだ。

ExcelComアドイン
Office Professional Plus 2013 の COM アドイン ダイアログ

Power Map のシステム要件

実は Power Map については私自身も嵌ったクチだ。
通常は Office Professional Plus 2013 を使っているのが、Power Map をアドインとして追加しようとしたのだが、過去にできていた Power Map のアドインのダウンロードがない。いや、正確にいうと、Preview 版はあるが、Preview がはずれた正式版がない。

検索をすると Office Online の以下の記事を探し当てた。

Power Map for Excel

つまり、Power Map は Office 365 ProPlus のみ提供になったということだ。今後、Power Map Preview for Excel 2013 の更新は無い、と明記されている。
Power Map も Power Pivot や Power View 同様に、COMアドインになければ利用できない、という提供の仕方になっていたのだ。

PowerMapCOMAddIn
Office 365 ProPlus の COM アドイン ダイアログ

まさか、Professional Plus 2013 で Power Map の正式版アドインが使えなくなるとは思っていなかった。

Power BI サービスの一部だから...

上記のアドインは Power BI サービスの一部だから、、、と言われれば仕方ない。
クラウドやビックデータを扱わない Excel ユーザーにとっても、Power Query や Power Pivot はいろいろと使い道がある非常に有用な機能なのだが、これらのアドインの最終的な目的は Power View による「Power View シート」を作成し、Office 365 の Power BI サイトで組織内で共有する、というものだ。

なお、Power BI のライセンスは Power View シートを作成し、アップロードしたり、BI サイトでデータ マネジメント ゲートウェイを設定する管理者だけが持っていればよい。
共有されるシートの閲覧は、Power BI ライセンスがなくても可能であり、その閲覧のみの「ストアアプリ」がある。

Microsoft Power BI ストアアプリ

ストアアプリのみならず、iPhone/iPad 用の閲覧アプリもすでに公開されている

Microsoft Power BI アップストア

たしかに、このような使い方を前提とすれば、全 Office ユーザーがこの機能を使う必要はなく、限られたユーザーだけに絞っても問題ないという判断もできよう。
しかしながら、実践ワークシート協会の「田中メソッド」による Power BI アドインの区分けを行うと

入力・機能: Power Query
計算・機能: Power Pivot
出力・機能: Power View / Power Map / Power BI サイト

となり、ビックデータを扱うことのないユーザーでも活用の可能性があるだけに残念である。

データ分析の機能については Microsoft が力を入れているエリアであるため、今後またエディション利用条件の変更があるかもしれない。これに懲りずに興味あるユーザーはウオッチしておいて損はないと思う。

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自己紹介

自分の写真
1989年新卒で日本IBMに入社しダウンサイジング担当としてホストコンピュータと繋げるオフコン、UNIX、PCサーバーのプロジェクトを担当。1997年 MSKK(現日本マイクロソフト)入社、NT4出荷に伴い企業向けサポート部門のビジネスマネージャーとして Excel 使いとなり、2002年 にMSMVPなどをサポートするユーザーコミュ二ティ部門を設立、部門をリード。2006年にMSKK退職後、企業向けのITトレーニング会社・団体に携わり、2014年頃よりPowerBI勉強会主催メンバーの一人として参画、そのコミュニティ活動で MSMVP for Data Platform PowerBI 2017受賞。https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5002635 同年にMVP Awardを返上し、アマゾン ウェブ サービス ジャパンに入社、コミュニティプログラム担当として現在に至る。