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2017/06/15

[Excel] Excel で JSON データを読み込む

この前の投稿でご紹介したように、Power Query が「データの取得と変換」となって Excel の標準機能となり、様々なデータの取り扱いが可能になりました。(2017年6月現在、Office 365 サブスクリプションの 最新の Excel が機能拡張の対象となります)

データの取得と変換である Power Query は、アドイン単体としての機能追加、さらに Power BI Desktop の登場によって、Power BI Desktop の ETL 機能 (Extract, Transform, Load)として拡張が行われてきました。Power Query は、Excel そして Power BI Desktop のデータの取り込み、変換・加工、ロードを受けもつ ETL 機能として今も進化し続けています。

JSON 形式のデータをプログラミングなしで取り込む

この進化し続ける「データの取得と変換」機能で、すぐにでも使ってほしいのが CSV データの取り込み機能ですが、人によっては JSON 形式データの取り込みのほうを重宝するかもしれません。

というのも、JSON 形式のデータ取り込みは、以前からも Power Query を使ってできていたのですが、現在は空のクエリから詳細エディターを開いて Power Query 関数を手で記述することなく、クエリ エディターのクリック操作のみで取り込みが可能になったからです。

また、JSON形式のデータを表形式に変換してワークシート上に読み込むためには、VBAを使う方法がこれまで多く紹介されていましたが、VBAでプログラムすることなく、JSON形式のデータをワークシートに展開することができるようになりました。

Web から JSON でデータを取り込む

実際のところ、JSON形式のデータによるテキスト ファイルをフォルダーから読み込むよりも、Web 上での検索条件設定の結果で、JSON形式のデータが表示されることが多いと思います。

サンプルとして、IT勉強会の告知・募集でお世話になることが多い connpass さんの API を使ってみたいと思います。

https://connpass.com/


connpass さんは、イベントサーチ API を提供していて、検索クエリの条件に応じた一覧を JSON 形式のデータとして取得することができます。

connpass API リファレンス

Web API や REST API でデータ提供サービスをしています、という場合、上記のような API リファレンスのページが必ずありますので、探してみてください。

たとえば "BI" というキーワードでイベントを検索するための URL は以下のようになります。

https://connpass.com/api/v1/event/?keyword=bi

この URL で、以下のような JSON 形式のデータによるレスポンスがブラウザに表示されます。


このデータを、Excel のワークシートに展開できるように2次元の表形式に「変換」して、私たちが読めるようにデータを加工することが、データの取得と変換のクエリ エディターだけでできます。上述のように VBA などでプログラミングをすること無しに可能です。

シンプルなデータの取り込み手順

JSON データの取り込みには2つの方法があります。ファイルから取り込む方法と、Web から取り込む方法です。ファイルから取り込む方法を使っても URL を指定することで Web からの取り込みが可能ですが、今回は「Web から」を使ってみます。


「Web から」のデータ取得は、これまでの Web クエリよりも高機能になっています。HTML ページの table だけではなく、今回のように JSON にも対応しているのです。

connpass の Web API 利用はサインインする必要がありません。以下のダイアログで "PowerBI" キーワードを含むイベントを検索する URL を入力し、OKをクリックします。(上記 JSON サンプルのキーワード "bi" の検索結果の数が多かったので、キーワードを PowerBI に変更しています。注意してください。)


接続が完了するとクエリ エディター ウィンドウが立ち上がり、以下の画面が表示されます。


注意点は、ここでファイルのアイコンの [connpass.com] をダブルクリックしてはいけません。アイコン上でマウスオーバーすると「開くにはダブルクリックします」というツールチップが表示されますが、ダブルクリックすると、現時点ではテキストファイルとして処理されてしまいます。リボンの [変換] タブの [形式を指定して開く] から [JSON] を選んでください



Json 形式で開くと以下のデータが表示されます。


results_returned、events、results_start、results_available の意味は、上述の API リファレンスに解説がありますので、詳細については後で参照してほしいのですが、情報から「指定した(PowerBI)キーワードの検索結果の総数は 19 件で、このファイル(データ)に含まれるのは 10 件、検索開始位置は 1 件目からですよ」という意味です。

あらかじめだいたいの件数がわかっている、もしくは取得する件数に上限を付けることができるのであれば、取得件数を 20 件に指定して全件を一気に取得することができます。PowerBI のサンプルは件数が少ないので、以下の検索条件にしてみます。

条件を変更(URLの変更)のため、クエリの設定の [適用したステップ] の [ソース] の横にある歯車マークをクリックします。


ダイアログの URL を変更します。取り込む件数の上限を 20 とするパラメーターの &count=20 を追記した URL です。


[OK] を押すと、results_returned が 19 に更新されます。


今回は例をシンプルにするために、検索結果で全件を取り込むパラメータを追加しました。また、匿名アクセスで利用が可能なので、認証に関する設定はありません。これらへの設定・対応はもちろん可能です。あらためて別の機会にご紹介したいと思います。

今、この状態は、検索したいキーワードを設定した URL をサーバーに送り、その結果を JSON 形式のデータとして Web 経由で 19 件取得しています。
この表示されているリストの events の List のリンクに、JSON 形式で 19件の検索結果の格納されています。
List のリンクをクリックすると、以下のように List リンク内のリストが 19件のデータとして展開されます。


Record のリンクをクリックすると、クリックした1件分だけの内容を確認することができますが、今回はすべての Record(勉強会)の詳細を一気に展開したいので、ここでリボンにある [テーブルへの変換] をクリックして、19件のレコードを含むリストを、テーブル(表)形式に変換します。すでに1件1レコードとして認識されているので、テーブルへの変換のダイアログのオプションはそのままで、[OK] ボタンをクリックします。


リストだったデータがテーブル形式になりました。


ここで Record リンクをクリックすると1件分のみの展開をしますが、テーブル形式に変換したことによる「列名」の Column1 の横にある [展開] ボタンを押すと、Record に含まれるデータをテーブル形式1件分のデータのみなした場合の列名の一覧が表示されます。ここで取り出す列を絞り込むこともできます。今回はすべての列を選択し、かつ、列名が長くなるので、[元の列名をプレフィックスとして使用します] のチェックをはずして、[OK] ボタンをクリックします。


JSON形式の元データを、21列19行のテーブル形式のデータに変換することができました。クエリ エディターの操作のみで1行もコードを書かずにここまでできました。


テーブル形式になったデータを Excel 向けに加工する

今回は Excel の「データの取得と変換」を使って connpass から検索結果を JSON 形式のデータで取得しました。その後、ここまでの処理・操作で、データはテーブル形式になりました。それぞれの列名がどのような意味なのか、connpass の API リファレンスのレスポンス フィールドで確認することが可能です。

ここで、必要な列や行のみを残す、といった加工が可能です。ここからの処理は、JSON だから特別、というものはなく、普通のテーブル形式のデータのフィルター オプションを操作する感覚でできるのは、クエリ エディターを使ったことがあれば理解できるでしょう。まだ慣れていない方は Power Query によるデータの加工や絞り込みについて、もう少しだけ情報収集するといいでしょう。

この connpass のデータや、特にサーバーからデータを取得した際に、Excel ユーザーが一瞬「おや?」と思うのは、日付データの扱いです。この日付データのトピックだけで結構長いお話になってしまうので、ここで詳細は割愛しますが、1つだけ意識してほしいのは、サーバーの日付形式のデータは、そのまま Excel で扱うことができない場合がある、ということです。


上記はデータ変換をせずにテーブル形式に変換したJSONデータをワークシートに読み込み、列名 started_at の1行目のセルの書式を表示したものです。2017-05-20T13:00:00+09:00 は勉強会・イベントの開始日のデータですが、Excel は単なる文字列として認識し、日付として扱っていません。
多くの場合、Excel は日付「らしい」文字列のセルへの入力があると、日付データの「シリアル値」に変換し、表示形式によって人間が日付と認識できるデータに見た目上変換します。残念ながら、2017-05-20T13:00:00+09:00 という ISO-8061 形式の文字列は Excel によって日付データと認識されなかった、となります。このままではシリアル値として扱っていないため、日付関連の関数の利用や演算ができません。

そのため、クエリ エディターで Excel が日付として認識できるように加工します。
データをワークシートに読み込む前の、クエリ エディター上で、対象となる日付のデータの started_at の列データを変換します。
started_at の列名をクリックし列を選択した状態で [変換] タブの [データ型の検出] を使ってもいいですし、この日付データ型は [日付/時刻/タイムゾーン] と呼ばれるものなので、列名横のデータ型のボタンを押して、明示的に選択することで変換可能です。[ABC 123] のアイコンが地球儀と時計のアイコンに変わります。


この変換ステップを行うことで、[日付/時刻] に変換できるようになります。[日付/時刻/タイムゾーン] に一度変換しないで、いきなり [日付/時刻] を選択すると Error になるので注意してください。データ型ボタンで [日付/時刻] を選ぶと、列タイプの変更 ダイアログが表示されるので、[新規手順の追加] を選んでください。[現在のものを置換] はタイムゾーン付きのデータに変換したステップを置き換えてしまうのでエラーになります。


このように日付データを変換して Excel のワークシートに読み込むことで、シリアル値として扱うことができます。

日本語データも特に問題なく扱うことができています。イベント(勉強会)の概要データの description は HTMLタグを含むテキストデータとして取り込まれています。ここからまた何らかの判断をしたい場合は、クエリ エディターの詳細エディター上で M 言語を使ってやってもいいですし、ワークシートに取り込んだ後で、関数や VBA を使ってもいいでしょう。


実際は考慮すべき点がいっぱい

今回は JSON 形式のデータでも、取得と変換のクエリ エディターを使うことで、プログラミングすること無しに Excel ワークシートに取り込むことができることを紹介するのが目的でした。しかし、それ以外のところで考慮すべきことが出てくるのが実際でしょう。

たとえば、取得する件数。サービスによっては上限が決まっていて、それ以上のデータの取得は、今回のような件数の指定のほかに、ページ数指定や、オフセット指定を使うことが推奨されます。
Power Query / 取得と変換のクエリ エディターで、詳細エディターを使ってこれらへの対応が可能です。ページ数やオフセットの「繰り返し」の処理は、URLを組み立てる一連のステップを「関数化」して、ページ数やオフセットを引数として渡す、という方法を使います。

この件数の上限への対応は結構「頭の体操」的なアイディアが必要になります。場合によっては CData さんの ODBC ドライバーを使うと幸せになれることがあります。
サイボウズの kintone の API も1回のリクエストあたりのデータ取得件数の上限がありますが、CData さんのドライバーを使うことで、その上限を気にせずにデータの取得が可能になります。

CData ODBC ドライバー一覧
https://www.cdata.com/jp/download/?f=odbc

Power Query/Excel 取得と変換/Power BI Desktop も標準機能としてさまざまなデータソースに対応していますが、CDataさんのような専業メーカーさんの ODBC ドライバーを試してみると、意外な発見や、解決策を見つけることができるかもしれません。

また、匿名アクセスではなく、ユーザー名+パスワード、アプリケーション登録による Web キーの利用など、サービスによって認証の方法はさまざまです。
connpass と同じくらい IT 勉強会の告知・募集・管理ツールで人気がある Doorkeeper の場合は、検索の URL の送信と一緒に Header データに認証情報を入れる必要があります。connpass は「Web から」の「基本」を使いましたが、Doorkeeper は「詳細設定」を使って、Header に認証情報をセットして、検索リクエストを送信する必要があります。Doorkeeper の API の解説には、Power BI Desktop や Excel クエリ エディターの具体的な設定方法や手順はないので、苦労するポイントでしょう。

登録して、Public API Access Token を取得
HTTP要求ヘッダーに Bearer を使ってトークンを追加
正直いうと、Doorkeeper API で Authorization Bearer に行きつくまで結構な時間がかかりました。

長くなりましたが、Excel のデータの取得と変換という新しい外部データ取り込みの仕組みを使うことで様々なデータソースへ接続し、様々なデータ形式のデータを扱うことができます。まだまだ進化中ですが、その方向はなるべくコーディングさせない方向で、JSON形式のデータであっても、コーディングなしでテーブル形式に展開して、ワークシートに取り込むことが可能です。

食わず嫌いせずに、この新しい機能をぜひ使ってみてください。

[追記] 最後まで読んでいただいてありがとうございます。取得と変換の機能の一つの「ピボットの解除」もJSON処理同様これまでVBAでなければできないと言われていた処理です。こちらもおすすめ機能なので是非使ってみてください。
https://road2cloudoffice.blogspot.jp/2018/03/blog-post.html

[追記] REST APIで取れないデータをWebページスクレイピングでとる方法を追加しました。
https://road2cloudoffice.blogspot.com/2020/05/excel-web.html

2016/08/06

[Power Query / 取得と変換] ブックにある複数のワークシートをまとめる

私もよく参考にする日本マイクロソフトの「Data Platform Tech Sales Team Blog」ですが、最近の投稿で「Excelマクロから卒業?」というタイトルのブログがありました。

私も以前に紹介したことのある、上記のブログのポイントである「ピボットの解除」などは、たしかにこれまで VBA で行うことになる難しいお題でした。これがクリックだけでできるようになるのは、「これからは Power Queryか?」とか思いますよね。

特にブックやワークシートを扱う系の処理では、これまで VBA の独壇場だったエリアに Power Query の適用が可能になっているので、ますます VBA卒業?とか言われそうです(笑)。(まぁ、卒業の前に入学してから・・・みたいな話もあるのだけど)

今回はブックにある複数のワークシートを扱う(まとめる)方法をご紹介したいと思います。
2つのケースを説明しますが、いずれもデータを含む表は「テーブル」になっているものとします。もちろん、Power Query ではテーブルになっていない「セル範囲」の表も扱うことができますが、その場合必要な列や行を指定して、データだけにするステップが追加する必要があります。

テーブルにしていれば、データだけを絞り込むステップは必要ありません。

ワークシートの数も名前もわかっている場合

考え方として、各ワークシートにあるテーブルから必要なデータを取り出すクエリを作成し、それらを「追加(Append)」します。データベースの世界や Access の世界では、この「追加」を「ユニオン(Union)」と呼びます。追加やユニオンは、基本的には同じ構造(列名を含む)のテーブルをつなげるイメージです。

4つの支店や部門みたいなグループがあって、そのデータをワークシート毎に分けている、といったサンプルです。札幌、東京、大阪、福岡などのワークシートがある、という感じですね。


それぞれのワークシートに「日付」、「番号」、「数値」のデータがあって、札幌、東京、大阪、福岡からデータを抜き出す、みたいな感じですよね。(最初から、地域みたいな札幌~福岡を入れる列をいれて1つのテーブルに・・・というのはわかります。が、ここではシンプルなサンプルを使いたいので、あしからず。)

名前がわかっている(=固定されている)ので、それぞれのワークシートから必要なデータ(もしくは全件)を条件を付けないで、全件取り込むクエリを作ります。これらから、4つのテーブルを追加(ユニオン)するクエリを作ってみます。実務では必要な「列」だけにしたり、条件を付けて行の絞り込みをすることになるでしょうね。

また、この例では、絞り込み条件なしで、各ワークシートにあるテーブルを全件読み取るクエリを「接続のみ」で作成します。元データと同じテーブルのワークシートを追加しても仕方ないですからね。さらに、どのシートから読み込んだかをわかるように新たに列を追加して、ワークシート名を追加します。


今は複数のクエリの追加(Append)は簡単になりました。以前は、2つしか追加できなかったので、2つを追加してから、その追加クエリにクエリを追加して・・・を繰り返したのですが、今は、3つ以上のクエリを追加するを選ぶと、一気に複数のクエリをAppendすることができます。


Append1というクエリが、4つのテーブルのクエリを追加=Unionしたクエリです。
ワークシートにクエリ結果を全く展開していません。このクエリの使い方は、ピボットテーブルのデータソースにして、欲しい形でピボットテーブル レポートを作成することになります。

ここで、Excel のピボットテーブルの機能としての知識が必要になります。

ピボットテーブルの作成は「挿入」タブの「テーブル」グループにある「ピボットテーブル」から行いますが、作成のダイアログで [外部データ ソースを使用] を選び、[接続の選択] で「Append1」の接続(クエリ)を選びます。この指定で、作成するピボットテーブルの元データに作成したクエリを指定することが可能になります。


はい、これ、複数のテーブルからピボットテーブル レポートを作ることになりますが、データ モデルを使っていません。よって、データ モデルを使ったピボットテーブルの「制限」がありません。
使うかどうかは別として、「集計フィールド」と「集計アイテム」が使えます。


でも、正直なところ、今から Power Query + ピボットテーブルで集計フィールドと集計アイテムを覚える必要はないと思います。集計フィールドは Power Queryの追加の列そのものですし、Power Query とデータ モデルもしくは Power Pivot でメジャーを使うのが主流になりそうです。

このサンプルは、1回きりだと意味がありません。それぞれのテーブル データが更新される、追加されるなど、元データに変更がある場合、一度このクエリとピボットテーブルを作れば、クエリ+ピボットテーブル更新で、最新データにすることができます。

そう考えると、このケースは「別ブック」である場合のほうが、より実務的ですよね。

次は、別ブックの場合の手順を紹介したいと思います。このとき、ワークシートの数は名前を知らなくても、取り込むことができます。となると、なんかVBAっぽいでしょ(笑).

2016/02/09

[Excel] テーブルと Excel VBA

ワークシート関数を使う時、これまでの「範囲」の変化に対応することができるテーブル機能は Excel 2007 以降の最大の機能拡張、、、なんてことも言われています。

過去にこのブログでもいくつかテーブル機能について紹介しました。

テーブルのすすめシリーズ
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/10/vlookup.html
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/10/blog-post_31.html
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/11/blog-post_7.html
http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2014/11/office-365-sharepoint.html

機能、関数で多くのメリットを提供するテーブルですが、Excel VBA の世界ではどうでしょう?

まず、表としての範囲が、テーブルというオブジェクト(ListObject オブジェクト)になるため、最終行+空白問題(上から End モードで下に行ったとき、空白があったら止まる)、もしくは最終行+ごみ問題(行の一番下から上に上がっても、途中にごみがあればそこで止まる)は基本的になくなります。

というのも、テーブルではテーブルの行数は End モードを使わずとも、テーブルのプロパティで確認することができるからです。テーブルの行数は ListRows.Count でわかります。

ここで標準的なテーブルを実践ワークシート協会の田中亨が推奨する「黄金テンプレート」で処理するコードを見てみると以下のようになります。

サンプルテーブル
サンプルテーブル
テーブルでも表の処理同様の VBA コードを書くことができます。
名前が田中だったら、個数X単価を合計に代入する、といった処理だと、田中亨の黄金テンプレートで考えると、

範囲はどこか? 

行は 3 から 12。もちろん、最終行の 12 が可変だとしても、End モードで特定します。

条件はなにか?

条件は、名前のセルが "田中" だったら、ですね。

処理は何か?

合計セルに個数X単価を代入する、です。

そうすると VBA のコードは以下のようになりますね。

Sub sample1()
    Dim i As Long
    For i = 3 To Range("B2").End(xlDown).Row
        If Cells(i, 2) = "田中" Then
            Cells(i, 5) = Cells(i, 3) * Cells(i, 4)
        End If
    Next i
End Sub

これをテーブルのオブジェクトを使って、テーブルらしく書いてみると、上記の表形式とは大きく違う点があります。それは「列番号」であり、「行番号」の考え方になります。

テーブル オブジェクトの世界では、ワークシートの「A列」や「D列」は意味がなく、あくまでテーブル内での列順序の番号です。上の例でいえば、名前の列は、B列で列番号2ではなく、あくまで名前フィールドであり、フィールドの番号はテーブル内で「1」になります。

さらに、テーブルというオブジェクトは「ListRowsコレクション」からデータ部分が構成されています。テーブルの行の各1行は ListRow オブジェクトとして扱うことができます。このことより、「何行あるか、わからないけど、For Each を使えば、そのテーブルのすべての行(ListRowsコレクション)を扱うことができる」として処理可能になります。

そのサンプル コードが以下です。

Sub sample2()
    ''1 名前, 2 個数, 3 単価, 4 合計 ←テーブル内での順序
    Dim tb As ListObject
    Set tb = ActiveSheet.ListObjects("TestTable")  ''テーブル名がTestTableだった場合
    Dim R As ListRow
    For Each R In tb.ListRows
        If R.Range(1) = "田中" Then
            R.Range(4) = R.Range(2) * R.Range(3)
        End If
    Next R
End Sub

たぶん、R.Range(1) という書き方ってあまり使っていなかったと思います。
この R.Range(1) という書き方は、以下の書き方と同じものです。

R.Range.Item(1)
R.Range.Cells(1)

おもしろいですね。
VBAセミナースタンダードで田中亨がよく「上級者は2次元配列は使いません。だって、Excel VBA にはワークシートがあるんですから!」と言いますが、上記の表記はその流れです。(正確にはこれは一次元配列ですけど)

For Each でとってくる R は一次元配列(的なもの)です。(要素の型が違うので配列とは言えませんが、便宜上お許しを)この1次元配列は1列または一行で複数セルを選択した「セル範囲」のイメージです。今はテーブルなので、以下のような横方向の1行のセル範囲です。

[[名前] [個数] [単価] [合計] ]

この順序です。ですから、名前は (1) で、個数が (2)、、、となるわけです。
その表記方法が R.Range(1) だったり、R.Range.Item(1) だったり、R.Range.Cells(1) になるわけです。セル範囲の Range オブジェクトを配列のイメージとして扱っているんですね。

繰り返しますが、ポイントは A列、B列といったワークシート上の絶対的な番地では無い!ということです。

上記の例はサンプルなので処理や条件がシンプルなものですが、これが複雑になってくると、Cells(行, 列) でセルを指定するやり方と、R.Range(要素) で処理すべきセルを指定する方法のどちらがいいかはだんだん変わってきます。

その意味から、変数を使って、テーブルの列順序を定義すると、さらに可読性が高まります。(IMEオン・オフの操作があるので日本語変数がいいわけではありませんが、サンプルとして定義します)

Sub sample3()
    Dim tb As ListObject
    Set tb = ActiveSheet.ListObjects("TestTable")
    Dim 名前 As Long, 個数 As Long, 単価 As Long, 合計 As Long
    名前 = tb.ListColumns("名前").Index
    個数 = tb.ListColumns("個数").Index
    単価 = tb.ListColumns("単価").Index
    合計 = tb.ListColumns("合計").Index
    
    Dim R As ListRow
    For Each R In tb.ListRows
        If R.Range(名前) = "田中" Then
            R.Range(合計) = R.Range(個数) * R.Range(単価)
        End If
    Next R
End Sub

たった5~6行の処理のための変数宣言と変数設定で7行は、、、と思いますが、通常はもっと条件や処理が複雑になるので、これだけで「行数が多い、無駄だ」と判断するのは早計だと思います。 For Each から Next R までの処理の「可読性」を見てください。実にわかりやすい表記になっています。

たぶん、テーブル ListObject オブジェクトを VBA で扱うのは、このオブジェクト変数を使ってテーブルを設定し、テーブル内のフィールドの順序を変数として設定していくのが一番良い方法だと思います。

ここでテーブル機能で重要な「構造化参照」が出てきてませんよね?

いろいろ試した結果、この「構造化参照」は VBA を編集するツールである VBE で実装されていないため、インテリセンスのような形で、文字通りの「構造化参照」という機能は実装されていないようです。テーブル名を指定すれば、そのテーブルにあるフィールドが表示される、、、ような機能は VBE には無い、ということです。

では、VBE に期待しないで表記したらどうなるでしょう?

ここでも Excel の Range オブジェクトの実装、、、「すげー」となるわけです(笑

VBE では構造化参照のメリット享受できないので使う理由がないのですが、無理やりやると以下のようなコードを書くことができます。

Sub sample4()
    ''1 名前, 2 個数, 3 単価, 4 合計 ←テーブル内での順序
    Dim R As Range
    For Each R In Range("TestTable").Rows
        If R.Cells(1) = "田中" Then
            R.Cells(4) = R.Cells(2) * R.Cells(3)
        End If
    Next R
End Sub

テーブルを ListObject として宣言しない分だけ行数が短いですが、R.Cells(1) などを番号ではなくフィールド名で、、、となると、宣言や設定のためそれなりに行数が増えます。さらに、構造化参照が VBE でサポートされていないために、複雑、長くなればなるほどめんどうなことが発生してきます。(*1 最後に追記してます)

以上のことより、通常、テーブルを VBA で扱うのであれば、テーブルは ListRow のかたまりであり、テーブルを ListRows コレクションとして処理するのが王道でしょう。
そのときの For Each として1つ1つ処理するのは ListRow オブジェクトであり、その ListRow オブジェクトの扱いは「一次元j配列」的になる、と言えるでしょうね。

今後、データ接続でテーブル形式でデータを取り込むことが多くなります。そのときは、上記の考え方でテーブルをマクロで扱うことも多くなると思います。

(*1) 構造化参照が少なすぎるとおもったので追記。
構造化参照方式で以下のような表記が可能です。

Range("テーブル1[名前]")

上記でテーブル1の名前フィールドのデータ部分の範囲を指し示すことができます。
しかし、この Range(構造化参照) は、あくまで Range による範囲(つまり、named range) のため、ListObject との関連がありません。

そのため、Range("テーブル[名前]").Column は、ワークシート上の列番号を返します。


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2015/07/10

シート別にデータを分ける – VBA/マクロとピボットテーブルの活用

実践ワークシート協会の通常業務では、なるべく「元データ」は Office 365 の SharePoint か、SharePoint Access アプリを経由して SQL Azure に入力して、クラウド上でまとめるようにしています。

生のデータがクラウド上にあれば、あとは Excel のデータ接続を使って生データをワークシートに取り込み、自分の欲しい形に加工すればよいわけです。おおよそオートフィルターかピボットテーブルで目的は達成でき、ちょっと複雑(複数テーブルを使う、列を入れ替える、削除するなど)になれば、Power Query や Power Pivot を使います。

Excelデータ接続
(Office 365 SharePoint Online のリストアイテムの取り込みは OData フィードを使うと幸せになれることが多い。くわしくはこちらを参照)

定型の業務であれば、一度つくったピボットテーブルや表を Excel Services の Excel Web Access を使って SharePoint Online のポータルに貼り付けておけば、ローカル(PC)で Excel を開くことなく状況の確認が可能で、協会のメンバーと情報を共有できます。

Excel ユーザーのための Excel Services – Office 365

強いて言えば、協会のメンバーは全員が Excel を使いこなすことができるので、準備したデータを「あ~したい」、「こ~したい」、と思ったら自分で加工できるのが大きな強みでしょう。

このように協会ではピボットテーブルやオートフィルターを活用・多用するので、最新データは「データ更新」ボタンを押してクラウド上のデータを Excel で確認するか、条件が変われば自分でピボットテーブルやオートフィルターを変更するわけですが、一般的にはそうではなく、日次や月次などで「決まった形」でワークシートを用意する、印刷して提出しなければならないケースを聞くことが多いです。(繰り返しになりますが、協会内部の業務ではこのようなケースはありません。)

例えば、支店別の売り上げとか、製品別の売り上げとか、年月での売り上げでまとめたワークシート。[東京支店][大阪支店][名古屋支店] といったワークシートが並んでいたり、[2015年4月][2015年5月][2015年6月] というようなワークシートが並んでいるブックです。

比較・確認する数字などは定例の会議で確認する項目などはほとんど決まっているのでピボットテーブルを駆使した方が最新データへの更新も考えると楽なのに、、、と思うこともしばしばありますが、もうそうやって何年も十何年もその資料を使っていると、なかなか変更するのも大変です。(変更したほうがいいんですけどね)

だったら、その作り方で楽をしよう、というのが今回のテーマです。Excel VBA と ピボットテーブル の話になります。

グループ化と明細の表示を使う

Excel のピボットテーブルには「明細の表示」という機能があります。通常はピボットテーブルによる集計済みの項目の集計元データを、別のワークシートに作成し内容を確認するためのものです。

PVTSYOSAI

たとえば、日付項目を「年・月」でグループ化したピボットテーブルを作り、年月の集計値をダブルクリックすると、その年のその月のデータだけが「明細の表示」としてワークシートが追加されます。

クラウドやサーバーからデータを Excel に取り込み、年・月のシートに分割する、というような定型の業務がある場合は、オートフィルターを使ってコピーする方法より、このピボットテーブルと明細の表示を使うほうがあるかに手間がかかりません。そして、この手作業を VBA で自動化すれば、一瞬で年月ワークシートを作成することができます。元データは SharePoint や SQL Azure といったサーバーから取ってきますので、その時点での最新データから年月ワークシートを作成することが可能です。

グループ化は日付だけではなく、支店名や、製品グループなどの文字列データでも有効です。ピボットテーブルのグループ化の機能が強力なのは、あらかじめどんなユニークデータがあるかを知っている必要がないことです。この性質を利用して「重複データの削除」のような使い方も可能です。

重複したデータをチェックする - ピボットテーブルの応用

マクロ / VBA でピボットテーブルを作る

実践ワークシート協会代表理事/Office TANAKA の中の人 田中亨曰く、 マクロ記録で恐ろしい(難解な)結果が出る代表格の1つであるピボットテーブルの作成ですが、実は、非常にシンプルなコードでまとめることができます。このあたりは田中亨著の「Excel VBA 逆引き辞典」にシンプルなサンプルコードが紹介されています。

1回かぎりであれば手作業で十分ですが、毎回毎回同じことを繰り返す、作成するシートの数が多いようであれば、VBA を用意してそれを実行するだけで、ある条件でワークシートを作成することを自動化可能になります。

手順としては大きく4つです。

  1. 元の表(テーブル)から条件を設定してピボットキャッシュ、ピボットテーブルを作成する
  2. ピボットテーブルから詳細の表示を使って詳細ワークシートを作成
  3. 作成したワークシートにあるテーブルを並べ替え
  4. 作成したシートの名前を変更

それぞれの手順を見てみましょう。

例として以下のようなテーブルから年月別のワークシートを複数作成します。(サンプルは 10,000件)

datasample

1. 元のテーブルから条件を設定してピボットテーブルを作成する

Sub CreatePivotTable()
   'エラー処理なし。元のデータしかない、状態からのマクロ
   Dim cWS As Worksheet
   Dim nWS As Worksheet
   Set cWS = ActiveSheet  '元のデータをアクティブシートにしてマクロを実行、そのアクティブシートを cWS とする
   Set nWS = Sheets.Add   'シートを追加して、nWS とする ActiveSheet は nWS
   nWS.Name = "tmp"       '追加シート nWS の名前を tmp に変更
   Dim D As Range
   Set D = cWS.Range("A1").CurrentRegion  '元のシートの A1 を含むデータの固まりを D とする
   ActiveWorkbook.PivotCaches.Add(xlDatabase, D).CreatePivotTable nWS.Range("A1")  'Dからピボットキャッシュとテーブルの作成
   With nWS.PivotTables(1)  'ピボットテーブルのフィールドリスト操作を以下で行う
       .PivotFields("日付").Orientation = xlRowField  '日付を行に設定
       .PivotFields("金額").Orientation = xlDataField  '金額を値に設定
       .ColumnGrand = False  '集計行の総計を非表示
   End With
   Range("A3").Group Periods:=Array(False, False, False, False, True, False, True)  '日付行を年・月でグループ化する。マクロ記録で調べるとよい。
End Sub

実行結果は以下のようになります。

CRTPIVOT2

ピボットテーブルから年月シートを VBA/マクロで作成する

ピボットテーブルができてしまえば、あとは [詳細の表示] に相当するコードでワークシートを追加していきます。大まかな手順は以下になります。

2. ピボットテーブルから[詳細の表示]を使って、各月のワークシートを作成する

3. 作成したワークシートを日付でソートする

4. シートの名前を年月にする

5. 最後にピボットテーブルのシートを消す

ここは一気にいきます。

上記ピボットテーブルを作成したソースに 2, 3, 4, 5 を実現するコードを加えたものが以下です。

Sub CreateMonthlySheets()
   'エラー処理なし。元のデータしかない、状態からのマクロ
   Dim cWS As Worksheet
   Dim nWS As Worksheet
   Set cWS = ActiveSheet  '元のデータをアクティブシートにしてマクロを実行、そのアクティブシートを cWS とする
   Set nWS = Sheets.Add   'シートを追加して、nWS とする ActiveSheet は nWS
   nWS.Name = "tmp"       '追加シート nWS の名前を tmp に変更
   Dim D As Range
   Set D = cWS.Range("A1").CurrentRegion  '元のシートの A1 を含むデータの固まりを D とする
   ActiveWorkbook.PivotCaches.Add(xlDatabase, D).CreatePivotTable nWS.Range("A1")  'ピボットキャッシュとnWSシートにピボットテーブルを作成
   With nWS.PivotTables(1) 'ピボットテーブルのフィールドリスト操作
       .PivotFields("日付").Orientation = xlRowField  '日付を行に設定
       .PivotFields("金額").Orientation = xlDataField  '金額を値に設定。各年月シート作成のためのフィールドで「金額」そのものには意味はない。
       .ColumnGrand = False  '集計行の総計を非表示
   End With
   Range("A3").Group Periods:=Array(False, False, False, False, True, False, True)  '日付行を年・月でグループ化する。設定はマクロ記録で調べるとよい。
   Set D = nWS.PivotTables(1).DataBodyRange  'ピボットテーブルの値の範囲(金額集計)を D とする
   Dim Item As Range
   For Each Item In D  '金額集計の範囲の数だけ For Each を回す。個々のセル(Range)は Item に入る
       Item.ShowDetail = True  '詳細の表示を行う。このとき追加されたシートがアクティブシートになる
       With ActiveSheet.Sort.SortFields '追加されたシート(アクティブシート)で日付(A2)のソート条件を設定する
            .Clear  'おまじない
            'A2の日付の値で、昇順(xlAscending)、標準(xlSortNormal) でソートする条件を設定する

            .Add Key:=Range("A2"), SortOn:=xlSortOnValues, Order:=xlAscending, DataOption:=xlSortNormal
       End With
       With ActiveSheet.Sort 'アクティブシートの Sort オブジェクトでソートを実行する
            .SetRange Range("A1").CurrentRegion 'A1を含むデータのかたまり(範囲)を対象とし
            .Header = xlYes '一番上の行はヘッダーとして
            .Orientation = xlTopToBottom '上から下に向かって
            .Apply 'ソートを実行
       End With
       'セル A2 の日付から年月の文字列を作成し、シートの名前にする
       ActiveSheet.Name = Format(ActiveSheet.Range("A2"), "yyyy") & "年" & Format(ActiveSheet.Range("A2"), "m") & "月"
    Next Item
    Application.DisplayAlerts = False 'ピボットテーブルのシートを消す際のアラート表示をオフにする
    nWS.Delete 'ピボットテーブルのシートを消す
    Application.DisplayAlerts = True 'アラート表示を元に戻す
End Sub

10,000件程度であれば、数秒で年月別シートの作成が可能です。

CRTPIVOT4

最近は Power Query や Power Pivot といった機能の追加・拡張が Excel では多いですが、ワークシートを消す、新規に作る、追加するといった作業は VBA でしかできません。
そういった作業の自動化の要望がある限りは VBA がなくなることはないでしょうね。

ただ、ちょっとだけ「手間」を入れると Power Query の機能だけでも上記のことが可能になります。
機会があれば、Power Query で「年月別のシートを作る」手順をご紹介したいと思います。

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自己紹介

自分の写真
1989年新卒で日本IBMに入社しダウンサイジング担当としてホストコンピュータと繋げるオフコン、UNIX、PCサーバーのプロジェクトを担当。1997年 MSKK(現日本マイクロソフト)入社、NT4出荷に伴い企業向けサポート部門のビジネスマネージャーとして Excel 使いとなり、2002年 にMSMVPなどをサポートするユーザーコミュ二ティ部門を設立、部門をリード。2006年にMSKK退職後、企業向けのITトレーニング会社・団体に携わり、2014年頃よりPowerBI勉強会主催メンバーの一人として参画、そのコミュニティ活動で MSMVP for Data Platform PowerBI 2017受賞。https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5002635 同年にMVP Awardを返上し、アマゾン ウェブ サービス ジャパンに入社、コミュニティプログラム担当として現在に至る。