2015/12/08

Power BI と Excel

この投稿は Office 365 Advent Calendar 2015 Dec 8th にもなります。

Power Query や Power Pivot といった Excel アドインが提供され、Power BI というのは Excel が中心になっているような気がしていましたが、最近、どうもその雲行きが怪しいな、と思い始めています。

Power BI のおさらいを含めながら、雲行きが怪しいところを今回はご紹介したいと思います。

Power BI Excel アドインと Power BI Desktop、Power BI サイト の関係

Power BI まわりの Power なんちゃら、、、については本ブログの以下の投稿でまとめています。

Power BI Desktop と Excel の Power BI アドイン

実際のところ、Power BI Desktop が目指しているところは、脱 Excel だと言われても仕方ないでしょうね。
Excel を使わないで、Power BI Excel アドインで実現していたことを Power BI Desktop のみでやろうとしています。

Power BI Excel アドイン

Power BI Desktop

Power Query データ
Power Pivot リレーションシップ
Power View レポート

「慣れ」の問題から、私自身、どうしても Power BI Desktop でデータ分析するよりも、Excel でアドインや Pivot を使ってデータ分析するほうが楽なのですが、やはり「慣れ」の問題なので、慣れてしまえば、「やれることは一緒」となるでしょう。

また、Excel にデータを格納していく、追加していく、そして、その Excel ブックをデータソースとして使う、という状況であれば、Excel 2016 で追加された「発行」機能を使って、OneDrive にブックを保存して、Power BI で利用する、という使い方はあります。

Pub2PBI 

SharePoint Online や SQL Azure にデータ接続をし、外部データ接続からデータ分析をする、そしてそれを共有・公開するのであれば、Excel を使う必要性はなく、Power BI Desktop のみで「レポート」まで作ってしまったほうが、分析作業の一貫性があります。

というのも、Power BI の「レポート」に対応する Power BI Excel アドインの「Power View」の扱いが、当初より明らかにトーンダウンしているように見え、改善されるように思えないからです。

・ Excel 2016 で Power View がリボンからはずされた

手作業で追加すれば、Power View レポート コマンドの追加は可能ですが、基本は「はずれた」ということです。
この件については、以下にてマイクロソフトから紹介されています。

Windows 版の Excel 2016 で Power View を有効にする (support.office.com)

・ Power View レポートは Silverlight が標準

よって、Windows 10 で Power BI サイトを開くと、以下のメッセージとなります。残念ながら Edge での Silverlight のサポートはありません。

PBISilverlight

ということは、タブレットなどで Power BI の結果を表示して、、、といったワークスタイルの「本質」ではない、といえますよね。。。(Windows 10 でも IE + Silverlight であれば問題なく表示されます)

・ HTML版レポートはいまだまともに動いていない

Silverlight レポートの右下に以下のようなアイコンがあるのですが、いままでこれをクリックして同じようなレポート見たことはまだありません。

PBIHTML5

この状況から、どうも Excel アドインへの力の入れ具合は Power BI Desktop に比べると弱いな、、、と思わざるを得ません。

今後はどうなる?

分析は「慣れ」といいましたが、ピボットテーブルのようなツールの使い勝手はやはり Excel のほうが勝っています。

レポートとして Excel で Power View レポートを作成し、IE + Silverlight で Power BI サイトで「ダッシュボード」まで作ってしまえば、 Windows 10 Edge でも表示が可能です。
逆にこの回避策があるため、Power View レポートの HTML5化が進まないのかもしれません。

過渡期ということで、ちょっと中途半端な実装であることは否めません。ですが、スマートフォンの Power BI アプリでキーとなるデータをすぐに確認できたり、タブレットで対話的にレポートを確認できることは、自分たちのビジネスでも欲しい機能です。

細かい分析は今まで通り Excel で行い、共有するデータが決まれば、それを Power BI に発行して、IE+Silverlight でダッシュボードを作成して、グループ共有する、というのが流れかと思います。

あと、これは個人的な感想ですが、Power BI を使い、データモデルを Excel ブックに追加していくと、それほど「ビックデータ」でなくてもメモリ不足に陥ることがあるようです。この場合、32ビット版の Excel ではなく、64ビット版の Excel を使うことで回避できることが多いです。64ビット版の Excel の必要性はこれまであまり感じていませんでしたが、データモデルを使うパターンでは 64ビット版 Excel の存在価値が高くなりそうですね。

データモデルについては本ブログの以下の投稿を参照ください。

リレーションシップとデータモデル

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自己紹介

自分の写真
1989年新卒で日本IBMに入社しダウンサイジング担当としてホストコンピュータと繋げるオフコン、UNIX、PCサーバーのプロジェクトを担当。1997年 MSKK(現日本マイクロソフト)入社、NT4出荷に伴い企業向けサポート部門のビジネスマネージャーとして Excel 使いとなり、2002年 にMSMVPなどをサポートするユーザーコミュ二ティ部門を設立、部門をリード。2006年にMSKK退職後、企業向けのITトレーニング会社・団体に携わり、2014年頃よりPowerBI勉強会主催メンバーの一人として参画、そのコミュニティ活動で MSMVP for Data Platform PowerBI 2017受賞。https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5002635 同年にMVP Awardを返上し、アマゾン ウェブ サービス ジャパンに入社、コミュニティプログラム担当として現在に至る。