2016/07/10

[ピボットテーブル / リレーションシップ] 元データにない項目をピボットテーブルで表示させたい

以下のようなケースではどうすればいいでしょうか?という質問を Office TANAKA セミナーでいただきました。
ものすごく簡略化したケースで検討しますが、たとえば、アンケート結果の集計のようなもので、評価項目はA, B, C, D, Eまであるんだけど、Eを付けた人はいない、というデータがあったとします。

こんな感じのデータを想定します。


このテーブルからピボットテーブルを作ると以下のようになります。


元データのテーブルには評価で「E」というデータはありません。この元データからわかることは、AからDまでは評価のデータとして存在するが、Eもしくはそれ以降のデータがあるかどうかは判断が付きませんから、当然といえば当然です。

とはいえ、操作している側としては、Eまで評価があり、それを含めて以下のようなピボットテーブルが欲しい、と考えるのは当然ですよね。


出力用で、A~Eをあらかじめ用意し、GETPIVOTDATA関数とIFERROR関数を使って抜き出し、ゼロの対応が可能です。もちろん、簡略化しているので、この程度のサンプルならピボットを使うまでのことはなく、COUNTIFで十分だろう、というのはご容赦ください(笑)。

あくまで、ピボットテーブルの機能で対応しようとすると、評価の行ラベルが AからEまであることをピボットテーブルに伝えなければなりません。

実データを元にしてラベルを作る(=重複しないデータを作ってラベルを作っているんです)のではなく、たとえて言うなら、入力規則の元データとなるリストを元にラベルを作り、そのリストの項目からそれぞれの項目がいくつ選択されたのかを集計したい、といえます。

ということで、入力規則のリストに相当する評価テーブルのようなものを用意します。


この評価テーブルのAからEは、アンケート結果テーブルのAからEとの間でリレーションシップを組むことができます。アンケート結果テーブルの A とは「とても良い」ですよ、ということです。ワークシート関数では VLOOKUP関数を使って、「とても良い」や「良い」を参照しますよね。

このリレーションシップ、Excel 2013以降の標準機能です。
もっとも簡単な方法は、ピボットテーブル作成時に「複数のテーブルを使う」オプションを指定し、リレーションシップを自動検出させる方法です。シンプルなテーブルであれば、これで十分です。

アンケート結果のテーブルにアクティブセルを置いて、ピボットテーブルを作成します。その時、[複数のテーブルを分析する] の利用のオプションである [このデータをデータモデルに追加する] をオンにします。


フィールド リスト ウィンドウで、すべてのテーブルを表示するため [すべて] タブを選択し、AからEの評価を含む [評価テーブル] の [評価] を行ラベルとしてドロップします。


これで、AからEの行ラベルが表示された空のピボットテーブルが作成されます。


次に、アンケート結果の実データがある [アンケート結果] テーブルから個数を数えるために [名前]を[値エリア]にドロップします。すると、ウィンドウ上部にリレーションシップの自動検出ボタンが表示されます。
今回は評価 - 評価 でシンプルな例なので、自動検出を使います。もちろん、[作成] で手動で設定してもかまいません。


問題がなければ、以下のようなダイアログが表示されます。


ところが、この状態だと、あの空だったピボットテーブルは、期待した E の行が消えたものになります。


ここで、慌てず、ピボットテーブルのオプションの確認です。
少なくとも、データが入る前は、[E] が表示されていました。こういう場合は「データの無いアイテム(行・列)に関連するオプション」があるんじゃないか、とあたりをつけて探します。

実はこれに関連するオプション、普通に Excel のワークシートのデータを扱っている限りだと、使える状況になったことを見た人は少ないと思います。


これは、ピボットテーブルをやっていると良く目にする「OLAPデータ ソース」が元データだった場合に有効になるオプションでした。

オンライン分析処理の概要
https://support.office.com/ja-jp/article/15d2cdde-f70b-4277-b009-ed732b75fdd6

Excelのデータ モデル オブジェクトは、OLAPデータ ソースのキューブファイルと同じ振る舞いをするようです。事実、データ モデルを接続のプロパティでみたのが以下です。


ということで、今まで使えなかった、この「データのないアイテムを行・列に表示する」をオンにします。



すると、以下のようになります。


Eが表示されました。
しかし、空欄です。できれば 0 を表示したいところです。
これもピボットテーブルのオプション [空白セルに表示する値] で 0 を指定できます。


これらの設定をすると、ピボットテーブルが以下のようになります。


ピボットテーブルのような「機能」は、どんなものがオプションにあるか知らないと実現できないことが多いです。その意味では「機能」も習得するのが簡単ではありませんよね。

2016/07/07

[Power Query / 取得と変換] 列の追加 - 条件列 が利用可能になりました

Power BI Desktop や Excel の Office Insider で利用可能だった [列の追加] の [条件列] が、たぶん5月のOffice 更新プログラムで一般にも公開されたようです。
それまで、あると思って開いたら無くて「あ・・・あれ?」となったことが多かったからです。


ちょっと前置きが長くなりますが、この条件列が追加されたことで、かなり使いやすくなりました。

この Power Query / 取得と変換のクエリエディタで Power Query Formula Language (M言語) をガンガン使ってクエリを書く、という使い方をマイクロソフトは想定して作っていないような気が前々からしています。

というのも、Excelの数式バーでいうところの「数式オートコンプリート」機能、または、Visual Studio でいうところの「インテリセンス」のような、入力補助機能がクエリエディタで提供されていません。

数式オートコンプリートによるドロップダウン リスト

入力補助はなく、エラーではじめて間違いがわかる

ちなみに、Excel の数式バーと、Power Query の数式バー(これも正式名称が数式バー)の左横にある [fx] ボタンは、Excel の場合は[関数の挿入ボタン]ですが、Power Queryの場合は[ステップの挿入ボタン]です。挿入するという意味では一緒ですが、かなり違う意味・使い方になるので、迷わない、使い方が期待通りにならないので、なんで?なんで?と思わないことが肝要です。(要は Power Query のほうはほとんど使えない)

そのため、素から数式を記述するというよりは、リボンから適切なコマンドを選択して、クエリを完成させる、というのが基本哲学のようなものかなぁ、と感じていました。

たとえば、[列の追加]タブには、テキスト、数値、日付を元にして新しい列を追加するなら「たぶん、これをやるでしょ?」というコマンドが用意されています。

参照元のデータがテキストで、カスタム列を追加して、MID関数のような処理をしたい、となると、参照元のデータの列を選択した状態で、[テキストから] - [抽出] - [範囲] でMID関数と同様のことが可能です。

開始と文字数を指定 ただし、開始インデックスは 0 から始まる・・・

もちろん、その操作結果は M言語で記述されています。VBAのマクロ記録、といったほうがイメージしやすいでしょう。

MID関数に相当する Text.Middle 関数が使われていることがわかる

ここでカスタム列を追加した場合に欲しかったのが「条件の指定」でした。IFを使った条件分岐ですね。


If Then Else If Then Else If ・・・ なのでネストのし過ぎには要注意ですが、それ以上に演算したい [演算子] を、データの型にあわせて利用可能なものがドロップダウン リストで表示されるのは、上述のように数式オートコンプリートがないクエリエディタにはありがたいです。

たとえば [指定した値から始まる・・・] のような場合は、ドロップダウン リストから演算を選べば、相当する関数 (Text.StartsWith()) を使った記述が記録されます。


これらの追加機能を使い、M言語を直接記述するのではなく、マクロ記録のようにやりたい処理を手で行い、クエリを保存する、という流れをメインにするのではないかと思われます。

Officeのアップデートがまだの方は、ぜひ。

2016/06/20

[取得と変換・Power Query] 列の削除と他の列の削除は全く意味が違います

すでにお気づきの方には申し訳ないエントリーになります(笑)。

取得と変換/Power Queryのクエリエディターで [ホーム] タブの [列の管理] グループにある [列の削除] には2種類の列の削除方法があります。

[列の削除]と[他の列の削除]です。


本当に正直なところ、処理でいらない列を「たまたま」選択したんだったら[列の削除]をして、「たまたま」必要なものを選択していたら[他の列の削除]を選んでいました。

これ、それぞれの Power Query Formula Language を見ると以下になるんですよね。

列の削除

= Table.RemoveColumns(変更された型,{"区分A"})

他の列の削除

= Table.SelectColumns(変更された型,{"日付", "区分A", "数値A"})

列の削除は、そのまま「列の削除」でいいのですが、他の列の削除は、結果的に列を削除しているのですが、実は、「必要な列を選択する」という意味なんですね。

そのため、元データで「やっぱり、この列、いらないね」となって、元データからその列が削除された場合、「列の削除」を指定しているか、「他の列の削除(=必要な列の選択)」をしているかで、クエリ更新時にエラーが出てしまうんです。

クエリで削除しようとしていた元データの列がないと、当然ですが、そんな列はありません、というエラーです。


列の削除は「これは含みたくない列だ」という強い想いがあるもの(言い過ぎですけど)、そういう強い想いがなければ、必要な列を選択して「他の列の削除」とすれば、上記のようなエラーはでない、ということです。

あまり意識しないで「列の削除」を多用していました。必要な列だけを残すために、不要な列を Ctrl キーを押しながら選択して・・・という手順です。これ、本当は必要なデータを選択したほうがいいと感じています。

もちろん、元データの必要な列が削除されれば、「そんな列は見つからない」という、削除と同じエラーになります。が、必要なデータの削除は気が付きやすいですし、そもそも必要ですから注意を払います。

2016/05/11

[Excel 取得と変換] Power Query でクロス集計表・マトリックス表を表形式・テーブル形式に変換する

前回に引き続き、これも今は Power BI で簡単にできる、Excelユーザーにとっての長年の夢、というか、実務でよく直面する課題です。
(この話題の2018年更新版の投稿はこちらです。https://road2cloudoffice.blogspot.jp/2018/03/blog-post.html

クロス集計表をリスト形式・テーブル形式に変換したい、というものです。これ、Power Query だと一瞬でできるんですよ。

この変換には、Power Query の機能を使いますので、Excel 2016 であればデータタブの [取得と変換]、Excel 2013 であれば Power Query をマイクロソフトのサイトからダウンロード、Excel 2010 の Professional Plus (企業向けのライセンス)ならば Excel 2013 同様に Power Query をダウンロードし利用することで、解決できます。

以下のようなクロス集計表(マトリックス表)あります。


ここから、ある日突然「A001だけの4月の合計と、地域を数値の大きい順番で・・・」など言われるわけですよね。できないことはないんですが、関数を駆使したり、コピーしたり、と手間と時間がかかります。

もし、このデータを以下のようなリスト形式で管理していたら、ピボットテーブル操作だけで完了しますよね。


クロス集計表から、このようなリスト形式のテーブルを作成するのは手間と時間がかかる、数が多ければVBAをつかって展開していました。

Power Query (Excel 2016 では 取得と変換)を使ったテーブルへの変換はアニメーションGIFでみられるほど「一瞬です」(笑)。


手順は以下です。

1) クロス集計表をテーブルにします。テーブルにする方法はアクティブセルをクロス集計表の中にいれて Ctrl+T または L、 リボンからは同じくアクティブセルをクロス集計表にいれて、[挿入]の[テーブル]グループの[テーブル]をクリックします。

2) テーブル形式にするのは、Power Query(取得と変換)で読み込みためです。テーブル内にアクティブセルをいれて、Power Query または取得と変換の [テーブルから] をクリックします。

3) テーブルになったクロス集計表を読み込んだクエリ エディターが立ち上がります。地域の列で null になっているセルがあります。


この null へ入力するデータはその上にあるデータのコピーになります。
このような場合、[変換]タブの[任意の列]グループの[フィル]の[下]を使います。


4) 4月から9月までの列を選択します。4月の列選択は [4月] の見出しをクリックします。Shift キーを押しながら [9月] の見出しをクリックすると、4月から9月までの列を選択することができます。

5) 選択した状態で、[変換]タブの[任意の列]グループの[列のピボット解除]をクリックします。これでクロス集計表がリスト形式のテーブルに展開されます。



6) 展開された列名を「月」に変更して、[閉じて読み込む]でワークシート上にテーブルを作成します。

この手順が上のアニメーションGIFになります。

なお、このテーブルの作成に使ったクエリを削除すると、元のクロス集計表とリンクしていないテーブルになります。クロス集計表の更新はあまりお勧めできませんが、クエリを保持しておけば、クロス集計表の数値が変わっても、[更新] でクエリ結果のテーブルを更新することもできます。

2016/05/09

ピボットテーブル レポート間のグループ化の動きについて

先日、Power BI の勉強会に参加して、最初の小一時間、Power Query や Power Pivot といったPower BI アドインの紹介をしました。
その紹介で Excel ユーザーにとって、昔からこれができたらいいのに!という鉄板ネタがあるんですよ、それが Power BI で解決できるんです、という話をしたのですが、これも Excel 2007 以降で「これ知っていたらいいのに」と思うもののひとつで、間接的に Power BI に関連するものがあります。

それは、1つのデータ ソース(表やテーブル)から作成した複数のピボットテーブル レポートで発生する、「グループ化の連動」への対応です。

日付のグループ化が2つのピボットテーブルで連動する
ピボットテーブル レポート(以降、ピボットテーブル)は、表形式のセル範囲やテーブルを指定して作成します。その際に Excel は「ピボットキャッシュ」を作成し、そこからピボットテーブルが作られます。Excel 2003 まではピボットキャッシュを共有するかどうかウィザードで聞かれたのですが、Excel 2007 以降はウィザードが無くなり、ピボットキャッシュは共有されるのが既定となりました。

このグループ化が連動してしまう挙動は、上述のピボットキャッシュを共有しているからです。
Excel 2003 までは、この挙動が問題ならウィザードに対して「共有しない」を選べばよい、が対応方法でした。Excel 2007 以降はこのウィザードがリボンからなくなってしまったため、ちょっとした「裏技」的な方法で Excel 2003 まであったピボットテーブル ウィザードを立ち上げて対応しましょう、と紹介されているところが多いですし、マイクロソフトのサポートの記事にもそれがあります。

ピボットテーブル レポート間のデータ キャッシュの共有解除 (support.office.com)

ピボットキャッシュを共有することにより、ブックのサイズを小さくし、使用するメモリーを少なくする効果はありますが、ピボットテーブルの良さに気づき、複数のピボットテーブルを使ってレポートを作成して、ある一つのピボットテーブルのグループ化を解除したら、すべてのピボットテーブルのグループ化が解除される、なんてことは「どうしてそうなるんだろう?」と最初は悩みました。

この Alt+D, P で 2003 まで使用していたピボットレポート ウィザードを使って、範囲を変えて、キャッシュを作り直して、また範囲を戻す、なんてことを、全てのピボットテーブルに適用することなく、解決する方法があります。

ピボットテーブルを作成する際に、データ モデルに追加するだけでいいのです。


[このデータをデータ モデルに追加する] は、通常、リレーションシップ、Power Pivot で使われます。
Power Pivot を使わなくても、このチェックを入れることで、ピボットキャッシュはそれぞれ別に作られるので、複数のピボットテーブル間で発生するグループ化の連動を避けることができます。


データ モデルに追加する方法で3つのピボットテーブルを作成したブックでピボットキャッシュの数を調べると、ちゃんと 3 と出てきました。


ブックのサイズですが、サンプルデータは5列からなる1万件のデータで以下のようになりました。

10000件のテーブルのみ 315KB
ピボットキャッシュ共有で3つのピボットテーブル 427KB
ピボットキャッシュ共有解除の3つのピボットテーブル 637KB
データ モデルに追加した3つのピボットテーブル 562KB
(ピボットテーブルはいずれも空にしてます)

データ モデルを追加するとサイズが大きくなりそうな気がしますが、非常に高い圧縮技術を使ってコンパクトにしているという技術情報がマイクロソフトから出ています。

Create a memory-efficient Data Model using Excel and the Power Pivot add-in
上記の日本語版(機械翻訳)

データをデータ モデルへ追加して、ピボットキャッシュの共有をしない設定は、ピボットテーブル作成時のみです。一度作成してしまったピボットテーブルのピボットキャッシュの共有を解除するには、Alt + D, P で 2003 のウィザードを使うか、新しくピボットテーブルを作り直すことになります。

また、[ピボットテーブル ツール] の [分析] または [オプション] タブの [データソースの変更] を使って、Alt + D, P でやるようなデータソース範囲の変更、ピボットキャッシュを別にして、また、データソース範囲を元に戻す、という方法をとっても、ピボットキャッシュは再共有されます。データソースを元のテーブルや範囲に戻すと、再度、ピボットキャッシュを共有します。
このあたりは、どうしても「共有」を前提としたいようですね。

[追記 2016/5/9] 過去にこのブログでも紹介していますが、データ モデルに追加することでピボットテーブルの集計フィールド、集計アイテムの機能が使えなくなります。同様の機能は Power Pivot の計算列、メジャーで行います。集計フィールドを使う人は注意してください。
データ モデルに追加しても「日付のグループ化」ができるようになったのが大きいですね。

2016/04/30

Excel 2016 のピボットテーブルの自動時刻グループ化機能のグループ化を解除する

Excel 2016 の追加更新機能で Automatic Time Grouping (時刻のグループ化) 機能があります。

日付データをピボットテーブルのフィールドリストにあるレイアウトセクションの列や行にドロップすると、年・四半期・月に最初からグループ化してくれる機能です。

それまでは、ピボットテーブルの行や列のラベルフィールド上で、右クリックメニュー(コンテキストメニュー)から [グループ化] を選んで、年や月でグループ化していました。

日付の場合は、この操作なしにグループ化されるようになりました。

とはいえ、会計年度が1月~12月でない場合が多い日本の場合は、四半期のグルーピングが邪魔ではないでしょうか。実践ワークシート協会の会計年度は10月~9月なので、一般的に多い4月~3月ではないのですが、それにしても第1四半期は1月~3月ではありません。

ということで、この四半期のグループ化を外すことが多いのですが、これまで、自動的にグループ化され作成されたフィールドをレイアウトセクションから外す、という作業をするか、ラベルフィールド上のコンテキストメニューで [グループ解除] を選択していました。


この解除作業、上記の手順ではなく、日付フィールドをピボットテーブルに配置して自動時刻のグループ化された直後に Ctrl + Z で解除されることを知りませんでした・・・

以下は配置直後に Ctrl+Z をしています。


操作直後の Ctrl + Z で解除って、他にもあります。

ハイパーリンクです。

メールアドレスが多いでしょう。もちろん、URLのハイパーリンクも、入力直後の Ctrl+Z で解除されます。

ハイパーリンクはオートコレクトのオプション設定で「オフ」にすることができます。


では、時刻のグループ化をオフにするオプションがあるか調べたところ、Excelのオプションにはオン・オフをする項目はありませんでした。

どうしてもオフにしたい、という場合はレジストリの変更となります。(今の時代にそれですか!)

Windows版Excel 2016のピボットテーブルで時間グループ化をオフにする
https://support.office.com/ja-jp/article/6be5afed-348c-4db2-9f87-5ac262d67b3f

2016/10追記 さすがに Excel のオプションでオフにできるようになりました。


以上、Excel 2016で追加されたピボットテーブルの時間グループ化/時刻のグループ化機能の話題でした。

2016/04/15

Power BI Desktop - Excel とどこが違うのか(2)

Excel ユーザーの観点からの Power BI Desktop その2です。

Power BI アドイン for Excel で、Power Query や Power Pivot を使っている Excel ユーザーにとって、Power BI Desktop はなかなか「使う場面が無い」という状況かもしれません。

ところが、データを加工する、保管する、という目的ではなく、「レポートを作成しメンバーと共有する」ということを最大の目的とすると、Microsoft の製品やサービスでは Power BI サービス (https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/) の利用を検討することになるでしょう。この BI レポートの活用のエリアは Microsoft 以外では「脱Excel」を掲げて様々なサービスがしのぎを削っている分野でもあります。(他には TableauOracle の BICS など、BIツールで多数あります。)

そんな観点から「違いを明確にする」というよりも Excel ユーザーのための Power BI Desktop 的なコンテンツになってしまいました。

前回は、テーブルのビジュアルを使って、テーブルを表示する、という手順(というか、考え方ですね)をご紹介しました。データを表示させるためだけに「視覚化」と呼ばれるビジュアルのパーツを使うので、Excel ユーザーにとっては慣れない「考え方」と思います。
ページレベルフィルターを使ってデータを絞り込んでいましたが、フィルターではなく「スライサー」を使うことで、レポート上でデータの絞り込み条件を変更することができます。このあたりになってくると、テーブル機能やオートフィルター機能というよりも、当たり前ですが、考え方や作り方は Power View に相当近くなりますよね。

今回ご紹介するのもグラフではなくて生のデータを表示させるビジュアルである「マトリックス」です。

これは「クロス集計表」と呼ばれるものにも近く、、Excel ではピボットテーブル機能を使って作成する人も多い、データ分析や集計をする人にとっては人気の機能です。


ひとつ言えることは、この Excel の分析機能である「ピボットテーブル機能」と同じ感覚で、Power BI Desktop のビジュアルの「マトリックス」を使うと、かなりストレスが溜まってしまい、本末転倒な状況や作業になるということです。

ピボットテーブルと Power BI Desktop 「マトリックス」の違い

Excel ユーザーがピボットテーブルを「操作」している時は、ピボットテーブルのフィールドリストからフィールドを選択し列にしたり行にしたり、シリアル値として持っている日付をグループ化したり、値フィールドの集計の方法や計算の種類を使って、より数字の特徴がわかるような表を作成しようとしています。(もちろん、作った表に条件付き書式を適用して、、、ということもやります)


この Excel ピボットテーブルの「より数字(データ)の特徴がわかるような表」というのは、Power BI Desktop や Power BI Service では様々なビジュアルを使って作られた「レポート」であり、分析はレポートを使って行われるべきもの、という考えが根底にあります。そのための「ライブ ダッシュボード」であり「対話型レポート」なのでしょう。

ピボットテーブルに似た、でも、Power BI Desktop のただ1つのビジュアルに過ぎない「マトリックス」に、ピボットテーブルと同じものを期待してはいけないと、ある日気が付いたのです(笑)。



Excel のピボットテーブルの作成で普通に利用する「値フィールドの設定」ダイアログボックスでできることは、実は Power BI Desktop 系では「メジャー」と呼ばれるものができることに相当します。[集計方法]タブにある合計や個数のカウントといった計算は、メジャーでは「暗黙的なメジャー」と呼ばれているもので、このレベルであれば、Power Pivot や Power BI Desktop でも簡単に用意できます。


[計算の種類]タブでは、行・列の比率、日付を含めた基準値に対する差や比率、累計といった計算方法が「あらかじめ用意されて」います。この選択してオプションを設定するだけで複雑な計算がすぐにできるのが Excel ピボットテーブルのメリットです。同じようなことを計算メジャーを使って Power BI Desktop で実現するには DAX で数式を作成する必要があります。

DAX (Data Analysis Expressions) についてはこちらをどうぞ。
クイック スタート:30分で学ぶDAXの基礎 (support.office.microsoft)

複雑な、込み入った計算は DAX を使って自由に数式を作成する優位性はありますが、[計算の種類]にあるようなワークシート上のデータを前提とした、よく使う分析までも1から DAX によるメジャーの作成となると入口の敷居があがります。

そのため、「なんで Excel のシリアル値を使った日付データなら、簡単に日付のグループ化ができるのに、マトリックスだとできないだ!」とイライラしても仕方ないんです。「Excel だと表示形式変えたら January じゃなくて 01 とかに簡単になるのに、なんでめんどくさいんだ」と言ってもしょうがないんです、、、

特に、、、Excel ユーザーが Power BI Desktop や Service を使うと「日付」の扱いの違いに驚きます。というか、冷静に考えると Excel のシリアル値を使った日付の処理と表示形式による表示方法、というのが、ちょっと便利すぎるのかもしれません。

私の経験から、ピボットテーブルを使いこなしてきたユーザーにとって、Power BI はある程度割り切りが必要じゃないか、と感じています。


たぶん、マトリックスを使った「クロス集計表」を Power BI Desktop ではあまり多用しないでしょう。Excel でピボットテーブルによる分析に慣れている人は、データの特徴的なものは Excel のピボットテーブルであらかじめ検討し、より、効果的にその特徴を他のメンバーと共有するために、適切なグラフのビジュアルを選び視覚化して、ダッシュボードを作成する、 そこで Power BI Desktop と Power BI Service を使う、というものです。

レポート共有はしたい、かつ、ピボットテーブルをメインにしたい

そんなあなた(私?)に朗報です。それが、Power BI publisher for Excel です。
ここのブログでも紹介しました。


http://road2cloudoffice.blogspot.jp/2016/04/power-bi-publisher-for-excel.html

大好きな(笑)ピボットテーブルを Power BI Service のダッシュボードにピン留するのも「ワンクリック」です。


 Power BI Service のダッシュボードには指定した範囲が画像として共有されます。


ですが、やはり Power BI Service でダッシュボードを作り、他のメンバーと共有するのであれば、対話型でライブなダッシュボードを作成したほうがいいでしょうね。

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自己紹介

自分の写真
1989年新卒で日本IBMに入社しダウンサイジング担当としてホストコンピュータと繋げるオフコン、UNIX、PCサーバーのプロジェクトを担当。1997年 MSKK(現日本マイクロソフト)入社、NT4出荷に伴い企業向けサポート部門のビジネスマネージャーとして Excel 使いとなり、2002年 にMSMVPなどをサポートするユーザーコミュ二ティ部門を設立、部門をリード。2006年にMSKK退職後、企業向けのITトレーニング会社・団体に携わり、2014年頃よりPowerBI勉強会主催メンバーの一人として参画、そのコミュニティ活動で MSMVP for Data Platform PowerBI 2017受賞。https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5002635 同年にMVP Awardを返上し、アマゾン ウェブ サービス ジャパンに入社、コミュニティプログラム担当として現在に至る。